10 FACTORY
- プロジェクト名: 10 FACTORY
- 竣工日: 2013.01
- 担当領域: ディレクション,インテリアデザイン
- 所在地: 愛媛県松山市
- 延床面積: 105.8 ㎡
- URL: http://10-mikan.com
- インテリア写真: 若林雄介
- イメージ写真: 三部正博
- グラフィックデザイン・ウェブデザイン: artless inc
- 植栽監修: 川原伸晃
愛媛県は、柑橘類の収穫量、品種数において日本一であり、その魅力を最大限プレゼンテーションする舞台として、人研ぎ仕上げの7メートルのカウンターと、ナンバリングした陳列棚を、奥深い対象地を活かすように配置している。仕上げの要素をしぼり、工場のようなしつらえとすることで、探索するようなワクワク感を演出し、カウンターのサイズをゆったりと取り、調理スペースとカウンター機能とを両立させることで、キッチンの中にいるような臨場感を感じられる雰囲気を目指した。そうした、一つ一つのディテールへのこだわりを積み重ねることで、全体として、ラフさと上品さのバランスを保っている。ストックルームは、あえてガラス張りにすることでディスプレイを兼ね、来客はガラス越しに松山城の石垣をみることができる。まちづくり協定に則したファサードは、その地域の人には見慣れたみかん箱をモジュールとして構成していて、その組み合わせによって、植栽の鉢、棚、ベンチ等、その時々に合わせた商店街との接点として、パブリックな外部空間を演出する。
現在、その他の農業と等しく、柑橘農家の高齢化は、深刻な問題である。この店舗を拠点とし、世界に誇るブランドを創り上げ、新しい流れを生み出すことが、愛媛県の柑橘産業を、次世代につないでいく一歩となることを期待している。