Shodaiji Columbarium

- プロジェクト名: 證大寺 納骨堂
- 竣工日: 2024.11
- 所在地: 東京都江戸川区
- 担当領域: インテリアデザイン
- 用途: 納骨堂
- 延床面積: 40㎡
- プロジェクトチーム: 岡部修三、進藤耕也 (Design)、上川聡 (Design &Management)
- 施工: クリキンディ
- 写真: 志摩 大輔
仏教の教えを社会に公開する場としてお寺を位置づけ、今の社会におけるお寺の在り方を模索続ける20代目住職との縁をいただき、新しい納骨堂の在り方を探ることとなった。
既存の納骨堂を調べていくと、大きく分けて2つの形式があることがわる。一つは棚型のスペースにそれぞれの領域が割り当てられており、その前もしくはそこから遺骨を取り出して故人と対面する形式。もう一つは礼拝のための部屋を設え、そこに機械的な装置によって遺骨が運ばれてくる形式である。いずれも、お墓に対しての価値観や社会の変化に対する新しい形ではあるものの、前者は故人と対面する環境としてどうしても周辺が気になりやすく、後者は上手くは言えないが、機械で遺骨が運ばれてくることに違和感を感じるものであった。
私たちは、故人と対面するとき、何に向かっているのか?例えばお墓の場合、区切られた領域があり、そこに拝む対象としての墓石があり、その下に骨壷があり、その先に遺骨が確かにある。そう捉え直すと、ひとグループがゆっくり滞在可能な環境があり、明確な拝む対象があり、その先に確かに遺骨があることを感じられる、それらの条件がより良く揃うことが重要だと、改めて理解ができた。言い換えると、その拝む対象とその先の遺骨の距離はそれほど関係がないと考えるようになった。何より自分と故人が一対一であると感じられることが最も重要だとも思った。
半地下に位置する対象地は、納骨棚が機能的に並ぶ一室であり、その前室を改修すると言う形で、プロジェクトはスタートした。遺骨を収納する棚とスペースをそのまま確保し、残りの部分でひとグループがゆっくり滞在できる環境を計画する。たくさん並ぶ中の一つとしてではなく、機械的に運ばれてくる方法でもなく、その先の故人を個別の対象として感じられる境界として、その環境と棚の境界に、奥行きを感じる透明感と、はっきりとはみえない不透明度の両立を求めて、ガラス素材の実験を進めることとした。
プロジェクトを通して、人工と自然、意図と無意識、それらの境界について常に議論があった。それは、礼拝の対象として人の作為を超えた何かを求めたいという議論でもあった。現代において何かを創造しようとする場合、多くの場合は何かを選ぶことがその行為の多くを占めることになる。加えて線を引くツールやそれを伝達する際のわかりやすさによって、形が定められることが多い。今回、その拝む対象としてのガラスは、できる限りそうした創造のプロセスから離れることを目指して、細かいガラスの棒を並べ、高温で溶かすプロセスによって、結果として形が現れる作り方を模索した。また、その形状はより雑念なく集中できる状態を求めて、いわゆる中心が一つとなる円や正方形、長方形ではなく、複数の中心がある楕円とし、その中でもより安定した形状を最後は感覚的に決定した。
礼拝のための環境は、ひとグループ6-8人が自然と中心を向くよう扇型とし、ぐるっと木で覆われたような空間を目指して、その中心に向かって、木材の材料の向きやピッチ、端部や隅など、場所毎に個別に判断を重ね丁寧に計画を行った。できる限りシンプルに、そこでの時間に集中できるよう要素を最小限に絞り、水盆、お香、花瓶といった必要な要素はできる限り、その要素そのものがそのまま置かれているように全てこの空間に合わせてデザインをおこなった。床はなぐり仕上げとして、足の裏からも素材感を感じられるようにこだわった。礼拝の対象としてのガラスは小口から光を当てて、素材そのものが光るような状態を目指し、それらの光はプログラミングによって制御され、単純なオン/オフではなく、緩やかなフェードインフェードアウト、タイマーによる時間制御などによって、時間軸を含めた体験のデザインを実現している。
























