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STEPPERS RECORDS

STEPPERS RECORDS
  • プロジェクト名: STEPPERS RECORDS
  • 竣工日: 2005.05.25
  • 担当領域: インテリアデザイン
  • 所在地: 東京都原宿
  • 延床面積: 10.68 ㎡
  • URL: http://www.steppers.jp/
  • 撮影: 若林雄介
  • アワード: JCD Design Award 2006 Best 100 + JURY Award ( Kundo Koyama ), Designers Compact Shop BEST100
試聴機のないレコード屋

近年、インターネットの普及によって、レコード店は通信販売が主流になりつつあり、その存在意義は低下しているように思われる。しかしながら、インターネットと言うのは、目的の物を探す際には有効だと思われるが、新しい物との偶然の出会いにはつながりにくいと言える。コミュニケーションをとりながらレコードを選ぶと言う行為、その音楽を通してうまれるコミュニケーション。
インターネット上のやり取りにおいては忘れ去られているその本質的な音楽を楽しむ行為がうまれることを期待し、店内にはあえてレコードの試聴機を設けていない。

「音」をデザインする

内装の設計を行う際、「光」 (照明)は当然設計の対象であり、選択肢も多い。しかしながら、それと同様に空間の重要な要素であるはずの「音」に関する選択肢は驚くほど少なく、現状の内装設計ではそのデザインの範囲から外れる事が多いと言える。
我々は試聴機のないレコード店と言うコンセプトをより効果的に達成するため、「音」に関する重要性を再認識し、設計の段階から真空管アンプ、スピーカーと言うサウンドシステムのデザインをおこない、職人とのコラボレートによって制作をおこなった。その結果、音質はもとより、天井のダクトに見せかけられたそのスピーカーによって、出所の曖昧な心地よい音を実現し、コミュニケーションを演出することに成功している。

過渡期をむかえた「裏原宿」発祥の地

対象物件は、その昔、現在の通称「裏原宿」を形成していく原点となったと言われるjunk yardという場所にある。過渡期と言える裏原宿において、あえて、店を構えるクライアントの、音楽を本質的に、なおかつわかりやすく紹介したいという思いを実現するため、仕上げや、細かな納まりまで配慮することで周囲の店舗と差別化を図ると同時に、周囲の都市空間に対し、できるだけ開かれた空間となるよう、窓際のレコード棚を空中に浮かせ、エントランス部分を透明のテント地のパッチワークで製作し、機能を満たしながら、内外を緩やかに区切っている。
この、思いの詰まった小さな空間が、新しいムーブメントの拠点として、多くのコミュニケーションがここからうまれてくれればと思う。
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